隣の先輩

 西原先輩は困ったような顔をしていた。


「家まで送るよ」

「大丈夫だよ。ちゃんと安岡さんを送ってあげないとさ。それに遠回りになるでしょう?」


 宮脇先輩は私に気遣っているかもしれない。


 たまに一緒に帰っているのを知っているみたいだったから。


 怪我までさせたのに、ここまで気を遣わせるなんて、自己嫌悪。


「私、用事があるから、早く帰らないといけなかったんです。お先に失礼します」


 できるだけ暗い気持ちを出さずにそう伝えた。



 そう言うと、頭を下げ、家へ向かう。


 それからは振り向かなかった。


 先輩に言われたことに浮かれて、何をしているんだろう。