隣の先輩

 先輩ならそう言ってもおかしくない。


 きっと宮脇先輩はその申し出を受け入れるんだって思っていた。


 西原先輩を誘ったんだから、と。


「んーん。いいよ。約束は約束だから」

「だから一緒に行ってもいいって」


「約束はきちんと守らないと約束じゃないからね。それにいいの。きっと

受験生の私には勉強に専念しろってことだと思うから」


 宮脇先輩はそう明るい声で言っていた。


「別にお前がそういうならいいけどさ」

「そういうこと」


 彼女はそういう人なんだろう。


 自分で決めたことはしっかりと守らないといけない。


 そして、誰のせいにもしない。


 でも、もし私を庇って怪我をしたとしたら、ものすごく申し訳ない気分だった。