隣の先輩

「そんなことないよ」


 その言葉に続けるように、すぐ後に痛いという悲鳴に近い宮脇先輩の声

が聞こえる。


「いつから怪我していたんだ?」


「第三試合の前にね、転んでしまってそのときに傷めたの」



「転んだ?」

「うん。手をつくときに変なつきかたをしてさ。面倒だから黙っていただ

けだよ」


 第三試合の前。それは私を庇ったときだった。


 あの試合の後、彼女は負けていた。


 あのとき、どこか手を傷めたんだろうか。


「怪我なら仕方ないか。そんなに映画を見たいなら一緒に行っていいよ」


 そう西原先輩の優しい声が聞こえてきた。