隣の先輩

 私だってそうだからだ。迷子の道案内をしてくれたいう好意的な印象を抜きにしてもかっこいいと思ってしまうから。


「私はここで。方向が逆なので。また、明日ね」


 咲はそう言うと、足早に去っていく。


 すぐに咲の姿が遠ざかっていってしまった。


「もしかして余計なことをしちゃったかな」


 西原さんは困ったように咲の帰っていく方角を見ていた。


「そんなことないですよ。彼女、家が逆方向らしくて」


 そこで言葉を切って、西原さんを見る。


「いえ。あのもしかして待っていてくれたんですか?」