隣の先輩


 聞いたことのある声が私の耳に届いていた。

 その言葉に反応して顔を上げると、目の前に白いボールがあるのに気づいた。


 何が起こっているのか理解できないかった。


 ただ、ぶつかるということだけは分かった。


 目を瞑ろうとする直前、私の前に手が飛び出してきた。


 その手にボールが当たり、白いボールが私の視界から消える。


「間に合ってよかった」


 その言葉とともに、体に影がかかる。


 顔をあげると、そこには宮脇先輩の姿があった。


 彼女は走ってきたのだろう。息が乱れていた。


「あの、私、どうして」


 状況が理解できない私に、愛理が駆け寄ってきた。

「大丈夫?」


 そのとき、転がっているボールを目で追う。あれが私にぶつかろうとしたんだってやっと気づく。