隣の先輩

 そういえば、宮脇先輩ともそうみたいなことを言っていた。


「先輩って生まれてからずっとこの辺りなんですか?」


「そう。もう住み慣れたけどね」


 先輩はそう言うと笑顔を浮かべていた。


 そのとき、グランドのほうから先輩を呼ぶ声が聞こえた。見たことのない先輩だった。


 先輩は返事をすると、私を見る。


「じゃ、後で」


 そう言うと、先輩はかけていく。



 私は先輩の姿を見送っていた。


 先輩の姿が小さくなって思い出したのが、さっきの一方的な賭けの話。


 本気でそう思っているのかな。


 先輩は何のためにそんなことを言い出したのだろう。


「真由、そろそろ行こうか」

 振り返ると、咲が立っていた。


「ごめんね」


「気にしないで」