この前まで中学生だったとは思えない。
背丈は先輩よりも少し低いくらいだろうか。
彼はため息を吐くと、黒板に目を向けていた。
しばらく経ち、教室に三十代半ばほどの男の先生が入ってくる。彼が担任なのだろう。
大村と名乗った先生からは簡単な自己紹介と今日の流れが大雑把に説明されていた。
先生の話を聞きながらも、西原さんのことをずっと考えていた。
◇◇
入学式は意外とあっさり終わった。
知っている人もいなかったので、余計にそう感じたのかもしれない。
放課後、私は前原さんと一緒に教室を出た。
「前原さんはどこに住んでいるの?」
「咲でいいよ。だから私も真由って呼んでいい?」
彼女はにこっと笑ってそう言う。
私は彼女の言葉にうなずいていた。



