隣の先輩

 私たちは他愛ない話をしながら、家までの道を歩いて帰る。


 家の前で森谷君と別れた。



 そして、マンションの中に入ろうとしたとき、入り口で依田先輩の姿を見つける。


 彼は黒の傘を持って、マンションから出ようとしていたところだった。


「先輩」


 私が呼ぶと、依田先輩はこちらに視線を向ける。


「あの、今日、用事があるんですよね。ごめんなさい」

「別に真由ちゃんが謝ることじゃないよ。ちょうど借りたい本もあったし」


 そう言うと、依田先輩は鞄を持ち上げて見せた。


 そこに本が入っているということなのだろう。


 依田先輩は私が嫌がっていたから、そうしてくれたんだろうか。