隣の先輩

 依田先輩の手には傘があった。先輩はきちんと持ってきていたのだろう。


 彼は西原先輩をちらっと見ると、納得したようにうなずいていた。


「山田と一緒に稜が帰るんじゃないかってことね。自分で誘えるってわけでもなさそうだな」


 どんな感じで顔に出ていたのか分からないが、依田先輩は苦笑いを浮かべている。


「嫌なんだ?」


 私は頬を膨らませて、目をそらす。


 何をやっているんだろう。子供みたい。


 そのとき、優しく私の頭に手が触れるのが分かった。


「分かったよ。俺に任せときなって」


 そう言うと、依田先輩は西原先輩のところまで歩いていく。


 私はそう言ってくれた依田先輩の後姿を目で追っていた。


「もしよかったら、一緒に帰らない?」