隣の先輩


 それでも先輩の顔を直視することができなかった。


「外で待っています」


 私はそう言うと、先輩から顔を逸らす。


 そして、図書室の入り口で本を借りる手続きをすると、外に出る。


 図書館の脇にある階段を下り、普段人があまり通らないホールまで降りていく。


 そこには椅子などが無造作に並んでいた。


 普段、人が通ることは少ないが、通行制限はされていなかった。


 本を胸に抱くと息を吐く。


 足を止めると、心臓が激しく高鳴っているのに気づいた。


 先輩が突然あんなことをしてきたからだと思う。

 ただ、うるさかった私を黙らせようとしただけなのは分かっていた。


 それでも心臓がおかしくなってしまいそうなほどどきどきしていて、呼応するように呼吸も荒くなっていた。