隣の先輩


 その言葉にドキッとする。

 今まで遠くから二人が話しているのを見たことがあった。


 でも、名前で呼んでいるとは思いもしなかった。


「ちょっとね。宮脇は?」


 先輩のほうは彼女を名前で呼んでいないのだろう。そんなことにほっと胸を撫で下ろす。


「ちょっと調べ物」

「そっか」


 先輩はそう言うと、宮脇先輩の座っていた場所をちらっと見ていた。


 先輩の視線が私を向いたのはその後だった。


「安岡も調べ物?」

「そうです……」



 そう歯切れの悪い返事をしたのは、先輩が先に宮脇先輩のことを気にしたから。