隣の先輩

 もう早い時間でないことからもその日は早く帰ることにした。


 家まであと少しとなったとき、背後から声が聞こえた。


「安岡?」


 その声に振り返ると、先輩が立っていた。


「前原さんも一緒だったんだ」


 彼は咲を見て、笑顔を浮かべる。


 そのとき、咲の顔が少しだけ赤くなっている気がした。


 何かあったのかな?


「じゃ、私はここで帰るね」


「え? 一緒に帰ろうよ」


 咲は私の耳元で囁く。


「先輩と一緒に帰っていいよ。私はこっちの道のほうが近いし」


 気にしないようにそう言ってくれた気がした。


 実際、そっちのほうが近道なのかと言われても、私には分からないけど。