隣の先輩

 そんな行動を取ってしまった後に愛理を見ていた。


 彼女は私の動揺に気づいたのだろう。顔を崩して笑っていた。
「行ってきなよ。でも、先輩に携帯の番号を教えてなかったんだ」

「うん。そんな話にならなかったから」

「教えておいたほうが便利なんじゃない? 真由も知りたいんでしょう?」


 そう言われると違うとは言えない。昨日、裕樹だけ番号を知っていたことは少なからずショックだったから。




 多分、知れるなら知りたいと思っているんだと思う。


「そうだね」



 でも、自分から言い出すのは勇気がいる。


 変な風に思われるんじゃないかとか、自意識過剰なことを考えてしまうから。


 教室の扉を開けて、外を覗くと、西原先輩と依田先輩を見つける。