隣の先輩

 朝、家を出たとき、自然と先輩の家に目を向けていた


 先輩の家の扉は当たり前だけど、深く閉ざされていた。


 まるで私と先輩の間に重苦しい壁があって、その壁を暗示しているように見えてきた。


 昨日辺りから、自分がすごく嫌な子になっているのを感じる。


 鞄を持っていないほうの右手で頬を抓ると、目を強く閉じる。


 そして、学校への道を急ぐことにした。


 別に遅刻しそうだったわけじゃない。


 先輩に会って、変な態度を取ってしまうのが怖かったからだと思う。

 補習が終わると、一気に教室内が騒がしくなる。


 五分ほどでホームルームが始まるんだけど、静かな時間を過ごしていた反動みたいなものなのだろうか。


 そのとき、私の机に影が掛かる。


 顔をあげると、愛理が立っていた。