隣の先輩


「すみません」


 私は受け取ると、買うつもりだったお茶を購入する。それを脇に抱え、列から離れた。


 そして、落ちた小銭を拾うことにした。そのときに彼女の姿を再び確認する。


 彼女は嫌な表情を浮かべることなく、私の落とした小銭に指を向けていた。


 その細い指が止まり、今度は辺りを見渡していた。そのたびに長い髪の毛が揺れる。


「これで全部みたいだね」


 そう言うと、彼女はお金を私に渡した。


 私は彼女からお金を手渡されたことを思い出す。


「さっきのお茶の代金」


 私は受け取った中から、さっきのお茶の代金を返していた。


「ありがとう」


 彼女はまた笑顔を浮かべていた。