隣の先輩

 先輩は自分のことをあまり話をしてくれないから。

 別に話す必要性だって、ないんだけど。


「でも、本人に聞けばいいのに。そっちのほうが手っ取り早いけど」


「好きな相手だから聞けないんじゃないんですか? すごく緊張してしまうと思うし」



 実感はないけど、そういうことって想像できるからだ。


「お前は好きなやつとかいる?」

「え?」


 私はその言葉にドキッとして先輩を見た。


 先輩は真剣な瞳で私を見ている。瞬きすることのない強い瞳に私の姿が映っていて、ただ何も言い返すことができなかった。


 時間の経過とともに、胸が高鳴っていく。同時に喉の奥に渇きを覚えていた。

「あの、私は」


 先輩は人差し指だけを残して、手を握ると、その人差し指で私の額を軽く押す。