で、残ったのが私ということになったんだと思う。


「前、つきあってた人とかは?」


「いないよ」


 と本人から聞いた。今まで彼氏がいたことはないと言っていた。それどころか告白されたこともほとんどないと言っていた。


 実際咲は自分がここまで誰かから人気があると分かっていないのだろう。


 気づかないのが咲らしいといえば咲らしいかなとは思う。


「そっか。ありがとう」


 彼の表情が明るくなる。心なしか軽い足取りで教室に向かっているようだった。