隣の先輩

「え? いいんですか?」

「別にいいよ。減るものでもないし」


 そう先輩は淡々と言っていた。


 私は少し迷ったけど、先輩の言葉に甘えることにした。


 いいと言ってくれているのを拒む理由もないからだ。


「勝手に入ってきていいよ。今、誰もいないし、鍵は開けておくから」


 先輩はそれだけ言う。


 二人きりになるわけだけど、この前も先輩の家に入ったからだろう。あまり細かいことは気にならなかった。


 家を出て玄関まで行くと、チャイムに伸ばしかけた手を引っ込める。


 こうしないように先輩は「勝手に入ってこい」と言ったのだろう。