隣の先輩

 彼のさっき見ていたのは黒の財布と、茶色の財布。でも、男物の財布には見えなかった。


「誰かへのプレゼントですか?」


「愛理へのね」


「愛理の誕生日って再来月ですね」


 それは彼女から四月に聞いた話だった。


「ついでに探すためにぶらぶらしていたんだけど、財布がほしいっていっていたからさ。こうしたものがいいのかなって」


「愛理は黒のほうが好きそうかも」


「やっぱり? 他にもいろいろ見ていたんだけど、使う物の方がいいかなって思ってさ」


 先輩はまじめそうな顔をして、辺りを見渡していた。


「そうですね。財布ならずっと使えるし」