隣の先輩

 そこにいたのは依田先輩だった。


 声をかけて大丈夫かな。


 でも、依田先輩なら大丈夫な気がする。


 私はお店の中に入ると、依田先輩のところまで行く。


 彼が必死に見ていたのは財布だった。


「依田先輩?」


 声をかけると、驚いたように振り返る。でも、いつもの優しい笑顔を浮かべていた。


 彼は私の持っている荷物を見て、目を細めていた。


「買い物?」


「はい。母親に頼まれて」


「偉いね。俺も愛理に頼まれて買い物」


 彼の手には同じお店の袋が握られていた。


 全然気付かなかった。