隣の先輩

 だから、それでもいいかもしれないとも思えた。


 二人の会話から私の話が消える。


「買い物に行くんだ。何を買うんだ?」 

「スケッチブック」


 先輩は時計を見ていた。今はちょうど五時を過ぎたところだ。


「だから、か」


 先輩の視線が私に向く。


「俺がついていってやるよ。そしたら安心だろう?」


 先輩は明るい笑顔を浮かべている。


 弟にあんなことを言われた理由に気づいたんだろう。


「でも、悪いから私が」

「いいよ。たまにはさ」



 裕樹の返事はもちろん行くだった。乗り気になった弟を諌めるのは気が引ける。


「よろしくお願いします」