「偶然だな」
森谷君は何かに納得したようにうなずいていた。
でも、両親がすぐにここに決めなかったら、森谷君と西原先輩がお隣さんになっていたんだ。
そう思うと、なんだか不思議な感じだった。
「あそこってどんな感じ?」
「どんな感じと言われても、ちょっと難しいかも」
「ま、そうだよな」
私のそんな言葉にも森谷君は笑っていた。
あまり男の人と話すことはないけど、彼はクラスメイトの中で格別に話しやすい。
私の住むマンションの前につく。
私が足を止める前に、森谷君の足がマンションの入り口で止まる。
「じゃあな。次に会うのはもう少し後だけど」
それは連休のことを言っているんだろう。



