隣の先輩

「じゃ、あのマンションに住んでいるんだ」

「そう」

「偶然。俺の家もそこにするか、今住んでいるところにするか迷っていたんだ」

「そうなの?」

「途中まで一緒に帰ろうか」

「いいよ」


 私は彼と一緒に帰ることになった。

 学校を出ると、森谷君が口を開く。


「五階が空いているって聞いてね。でも、すぐに埋まったらしくて、今の家になったんだけど」

 そこで森谷君の言葉が止まる。


「もしかして安岡の家って」

「その五階だよ」