隣の先輩

 いつもと同じように学校に向かっているけど、少しだけ先輩との距離が近くなったような気がした。

 学校までもう少しという距離になったとき、後ろから私たちを呼ぶ声が聞こえる。


 振り返ると、依田先輩が立っていた。


 彼は早速話しかけてきた。


「昨日、手をつないでいたんだってな」

「どうしてそのことを?」




 その言葉に顔に火がついたみたいに熱くなるのを感じていた。


「秘密」

 恐る、恐る先輩を見ると、先輩は相変わらず涼しい顔を浮かべていた。


 でも、私と目が合った瞬間、悪戯っぽい笑みに変わる。


 その笑顔を見て、嫌な予感をひしひしと感じていた。