その言葉で思い出したのは電車でなかなか起きようとしなかった先輩のこと。
「先輩に比べたら寝起きはいいですから」
その言葉に先輩の顔が赤くなる。
「誰にも言うなよ」
「え? 別にいいじゃないですか?」
言うつもりはなかったが、先輩の反応を見ていたらそう言いたくなってきた。
でも、あまりに困った顔をするので、一応否定しておく。
「言いませんよ。別に」
私にからからかわれたということに気づいたんだろう。先輩は大げさにため息を吐いていた。
それからは別に話をするわけでもなく、一緒に歩いていた。
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