隣の先輩


「髪の毛、まだ濡れているよ」

「え?」

 さっきまでの緊張が吹き飛ぶような他愛もない言葉に、逆に拍子抜けをしていた。

 手を頭に伸ばすと、大きな水滴が手につく。


 私はテーブルに置いていたさっきのタオルで髪の毛を拭く。


 先輩の態度は本心が読みにくくて、紛らわしい。


「雨、いつまで降るんだろうな」


 先輩の視線はリビングから見える窓に向けられていた。その外にはベランダがある。


 まだ外は灰色のまま。


「昨日行けば一日遊べたのに」


 先輩はそう言うと、肩をすくめていた。