そう言うと、先輩は私の肩をつかんで引き寄せてきた。
雨にぬれて、体温を奪われているはずなのに、強引につかまれた左肩が
熱を持ったみたいに熱かった。
いつもより何倍も近くに寄っていて、時折先輩の体が当たる。
先輩は涼しい顔をしていて、動揺した素振りも見せない。
こんなに近づいていて嫌じゃないですか?
そう聞けるのは心の中だから。
「全く、これじゃ折角傘を貸す意味がないだろう?」
先輩はそう言って、呆れたように笑っていた。
ごめんなさいとか、ありがとうとか色んな言葉を言いたかったが、上手く出てこない。
ただ、先輩の言葉にうなずいていた。



