隣の先輩


 彼は私の腕を引っ張ると、テーマパークの中にあるみやげ物屋まで連れて行ってくれた。


 そのとき、灰色の雲に包まれた雨から水滴がこぼれる。雨粒が私の頬を掠めるように触れた。


 目の前までお店が迫っていたので、慌てて中に飛び込む。


 その中は雨が振ることを懸念しているのか、思ったより多くの人がいた。


 私の手をつかんでいた先輩の手が離れる。

 名残惜しかったが、離さないでなんてことを言えるわけもなく、先輩の指先をただ眺めていた。


 私たちが入った後からも人がぽつぽつと入ってきていた。

「でも、買うものは別にないかな」

「ちょっと見に行きましょうよ」


 何かを買う予定はなかったが、今日の思い出に何かがほしかったのだ。



 私は何か小物を買うために見ていた。先輩は私の隣でその姿をただ見ていた。