隣の先輩


 それどころか、さっきまで外に出たいと思っていたのに、一転して今度はもっと中にいたいと思っていた。


 でも、そんな願いも虚しく、前方に光が見えてきた。


 出口には係員の人がいて、声をかけられた。私たちはそのお化け屋敷から外に出る。


「後半はあまり怖くなかったんだ」


 そう言うと、先輩は笑っていた。


 そうじゃないと思ったけど、そんなことは言えない。


 先輩が手をつないでくれたから、怖くなかったし、どきどきしてそれどころではなかった。


 先輩は手をつないでいることに気づいて、手を離すのかな。


 その彼の後姿を見ながら、ただ気づかないでほしいと思っていた。


 先輩が次に言う言葉を期待しながらも、謝られて手を離されることに対して怯えていた。


「雨避けならこの中にあるゲーセンかみやげ物屋のほうがよかったかもな」