隣の先輩

 お店の中にはあまり人がいなくて、閑散としていた。


 どこかできいたことのあるクラシックがお店の中を流れていた。


 先輩は時折、コーヒーを口に含む。

 私はオレンジジュースを飲んでいた。

「あまり寝ていないんですか?」

「そんなことはないよ。五時間は寝たから。本当、悪いな」


 私は首を横に振る。もともと嘘から生じた約束なのだ。悪いという気持ちは私のほうがあったと思う。


 私が半分ほど飲んだとき、先輩のコーヒーカップは空になっていた。先輩は急かすこともせずに、窓の外を眺めていた。


 まだ柔らかい日差しが窓から差し込んでくる。その光が私たちの座っているテーブルにも差し込んできた。その優しい光にはまだ暑さはない。


 先輩を待たせておくのが忍びなく、できるだけ早く飲むために、一気に口に含もうとした。


 そのとき、喉に飲み物をつまらせてしまった。