「未来を決めるのはお前自身だ」

 今が苦しくとも前を向かなければならない……その言葉にアザムは目を潤ませる。

「なんで……ぼくは生きてるんだろう」

 両手の拳をきつく握りしめた。

 小刻みに震える体は涙を重力に従わせる。

「人は死ぬために生きている」

「え……?」

 放たれた言葉に顔を上げ、無表情な彼を見つめた。

「誰かがそう言っていたのだよ。人は死ぬ瞬間のために生きていると」

 人は死の間際(まぎわ)、今までの記憶を辿るという。