「あの子の中にあるウイルス。10日は安心とみて良い」

「!」

「知っているならさっさと我々に……」

 驚くメイソンをよそに、トーマスがベリルに詰め寄った。

「あの子を狙っている者がいる」

「なんだって!?」

 思いも寄らない言葉に、メイソンは声を張り上げた。

「会社側からは『謝ってウルイスを打った少年が逃げ出した』とでも聞いたかね?」

 全てを見透かすように静かに問いかけたあと、付け加える。

「先ほど中東の人間とおぼしき男たちに狙われたよ」