数日後、広大なアメリカの大地をまばらな雲たちが影を作る昼下がり──その建物は尊厳を失わず白く輝いていた。

 建物のとある一室、ホワイトハウス大統領室にラフだが清楚な身なりの50代近い男性が、手にしていた受話器を溜息混じりに元に戻した。

 白さの交じる短い金髪にブラウンの瞳は彼の意思の強さを表し、彫りの深い顔立ちは威厳を備えている。

「!」

 男がドアに足を向けた刹那、背後に気配がして振り返ると、そこには小柄な青年の姿があった。

「……君は?」

 いぶかしげに見つめた青年の後ろに目をやると窓が開いていた。

「窓から失礼する。貴方に話したい事があってね」

 中途半端な丁寧さの物言いに、その男性──大統領──の片眉がぴくりと上がる。

 少しも臆すること無く少し離れた位置から見つめてくる鮮やかな緑の瞳には、曇りのない透き通った堅い意思が感じられた。