25歳のときに偶然に与えられた不死、本来ならば彼はそのときに死んでいたかもしれなかった。

 犯罪組織に狙われていた少女を守った事で致命傷を負い、遠のく意識なかで暖かな光りに包まれて気がつけば傷は血のりを残してすっかり消えていた。

 少女が狙われていた理由は、まさしくそれだ──たった一度だけ症状に許されていた能力(ちから)、それによって命を取り留め不死となった。

 己の事を知れば知るほど、それは孤独でしかない。

 それでも彼は、笑って前に進む事が出来る……全ては『彼だからこそ』なのだ。

 そして今、アザムの苦しむ姿に苦い表情を浮かべる。

 不死など、この現状では何の意味も成さないのだから。