「男。40歳くらい。国語」 それだけ答えると、俺はお袋の手を引きはがして自分の部屋に向かった。 後ろでお袋はブツブツ文句を言っていたようだけれど、それ以上追いかけては来なかった。 別にお袋と仲が悪いわけじゃない。 女手一つで俺を育ててくれたことには感謝してるし、 おととし、去年とたてつづけに亡くなった祖父母のことを考えれば、 もっといたわってやるべきなのかもしれない。