お袋はスーツの上着を持ち替え、センセーにケーキの箱を掲げてみせた。 「チーズケーキ買ってきたので、終わったら向こうでどうぞ」 「はい、ありがとうございます」 センセーが答えると、お袋はにこやかに会釈してドアを閉めた。 いつも通りのやりとりだ。 「お袋さん、相変わらずきれいだな」 こいつがお袋を褒めるのも、毎度のことだが、 今日はまた余計な一言を付け加えた。