「なんか、いい匂いがする。 香水?」 「あっ、うん……」 普段はつけないけど、今日は特別な日だから…… 「髪形もいつもと違うし、ワンピースも…… すごく可愛い」 「えっ、あ、ありがとう。 えっと、奈良坂君も素敵だよ」 抱きしめられて、耳元で囁かれて、緊張でカチコチになりつつも、私はなんとかそう返した。 ところが…… 「栞、さっきからなんだよそれ」 不機嫌に言い放った奈良坂君の声にビクッと身が縮んだ。 えっ? 私、なんかやっちゃった?