「えっ?」 思いつめていた私は、とっさにごまかす演技もできなかった。 「さっきから、黙り込んでるけど。 気分でも悪い?」 「えっ、ううん、平気」 かろうじて笑顔で答えた。 でも、奈良坂君の目はだませなかった。 「ちょっと休むか? それとも、俺、気を悪くするようなこと、なんかした?」 ちがう。 首を振ったけど、そう話している間にも、私たちの横には大きなミラーがあって、 私の視線はついそこへ向かってしまっていた。