でも、今、私、大好きな奈良坂君に抱きしめられてる。 そのことが実感され始めると、急速に心拍数が上がってきた。 ど、ど、どうしよう。 私はピクリとも動けずに、どんどん速くなる自分の心臓の音を聞きながら固まっていた。 そのとき、 「明日香……」 頭の上から奈良坂君の声が聞こえた。 でも、固まった私は返事すらできない。 奈良坂君は私を抱く腕を少し強めた。