土手に着いてみると、予想通り川原にはひと気がなかった。 対岸のグラウンドでは小学生が野球の練習をしているみたいだけど、こちら岸には誰もいない。 奈良坂君はすたすたと、土手を下りはじめた。 手をつながれている私も一緒に下りて行く。 川原に下りると風が強く、思わず首をすくめた。 ここなら、誰にも聞かれる心配はないね。 そう思いながら奈良坂君を見上げると、奈良坂君も私を見た。