私と奈良坂君がデートなんて、やっぱりありえないよね。


だとしたら……


あ、わかった。


さっき聞いた奈良坂君のお父さんのことだ。


うん、きっとそうだよ。


奈良坂君のいないところで、奈良坂君の秘密をお母さんから聞いちゃったんだもんね。


私が誰かに話さないか心配なのかも。


それで、奈良坂君からも口止めしておこうって考えたのかも。


だったらちゃんと「誰にも言わないから大丈夫」って伝えないとね。


私はそう考えてのぼせかけた頭を冷やしてから家のドアを開けた。