『ところで、今、どこ? 高部センセーに送ってもらったんだろ? もう家か?』 聞かれて私は窓の外を見た。 「ううん、えっと、今、野川駅のあたり」 『じゃあ、明日香んちまであと5分くらいだよな?』 「うん」 『あのさ、高部センセーに変なことされてないか?』 「え?大丈夫だよ」 私は奈良坂君の失礼な言葉が高部先生に聞こえてないかドキドキしながら、ちらっと横をうかがった。 高部先生はまっすぐ前を見て運転に集中している。 よかった、聞こえてなかったみたい。