俺は飛び起きた。


「まだいる?」


「ううん、今帰ったところ」


「なんでだよ。
いるうちに起こせよ!」


思わずお袋に当たると、静かな声でたしなめられた。


「だってまだ昨日熱が下がったばかりでしょ。
二日はひとにうつす可能性があるから休んでなさいって言われてるんじゃない。
栞さんにうつしたりしたら申し訳ないでしょ」


そう言われると、返す言葉がない。


でも、ここ最近っていうか、もう数ヶ月、明日香には避けられている。


そんな明日香が、せっかく来てくれたっていうんならひと目でも会いたかった。