「まあ、わざわざありがとう。
大輔、もう熱は下がっているんだけど、まだうつるかもしれないから会ってはいただけないの、ごめんなさいね」
奈良坂君のお母さんは袋を受け取るために、また一歩私に近づいた。
と、歩みを止めた。
「あなた……、あの時の……」
そう言って口をつぐんでしまった奈良坂君のお母さんは、私のバッグを見ていた。
そこにはマスコットが揺れていた。
「あの時ぶつかったの、あなたよね?」
奈良坂君のお母さんが言ってるのが、あの日のことだとすぐにわかった。
マスコット、拾ってもらったんだっけ。
「はい……」


