靴音がこちらに向かってくるけど、逃げ場がない。 人通りのない住宅街では、隠れる場所もなかった。 私はあっさり見つかってしまった。 「お?栞?」 気づいたのは高部先生が先だった。 「こんばんは」 私は観念して挨拶した。 高部先生の後ろについて出てきていた奈良坂君のお母さんも私の方を見た。 「先生のお知り合い?」 「いや、大輔君のクラスメートですよ」 高部先生が私と奈良坂君のお母さんの間に入って紹介してくれた。