そのとき、玄関ドアが開いて人が出てきた。 私はとっさに門の陰に身を隠した。 「わざわざすみませんでした」 「いえ、それじゃ失礼します」 「お気をつけて」 聞こえてきた声に、私ははっとした。 聞き覚えのある声。 高部先生だ。 相手はたぶん奈良坂君のお母さん。