「そうなの。 留学していたのは彼のお母さんよ。 学生時代に留学して、帰国してすぐに生まれたのがあいつらしいわ」 「留学先で妊娠したってこと?」 「そう。 それで、あいつはお母さんの女手一つで育てられたの」 「そうなんだ……」 「まあ、女手一つでって言っても、あいつの家はもともとあいつのお祖父さんの家でね」 「うん」 「少し前に亡くなるまでは、お祖父さんとお祖母さんも同居してたんだけどね」 「へえ」 私は初めて聞く奈良坂君の家庭事情が興味深く、身を乗り出した。