「彼、何君だったかしら?」 好きな人のことを聞かれ、私は照れくさく思いながら答えた。 「奈良坂君」 すると、ふと箸を止めた父が私を見た。 「奈良坂? 奈良坂、なんというんだ?」 「え?奈良坂大輔君だけど」 私が答えると、父は呆然としたように箸を置いた。 それを見た母が父に聞いた。 「あら、あなた、奈良坂君がどうかしたの?」