声をかけてきたのは母だった。 「お母さん!」 母は買い物帰りのようだった。 「送っていただいたの?」 「うん。 今日、文化祭で使う暗幕を小学校に借りに行って……、その帰り」 私が説明すると、母はわざわざ私の隣に来て、運転席に声をかけた。 「娘がお世話になりまして」 高部先生は微笑を浮かべ、軽く会釈した。 「いえ、たいしたことではありませんから」