奈良坂君が不機嫌になっちゃったのは私のせいだし。

私がいない方が、奈良坂君と高部先生の関係はいいような気がするし。


でも、高部先生は全然気にしていない様子で奈良坂君に話しかけた。


「だいぶ遅くなっちまったし、栞を家に送っていくくらい遠回りしても構わないよな?」


高部先生の言葉に奈良坂君はこちらを向いて言った。


「ああ、最初からそのつもりだ」


それを聞いて、高部先生も私に向き直った。


「というわけだから、乗って」


「はあ……
じゃあ、すみません」


二人にそう言われては断るわけにもいかず、私また車に乗った。